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花總まり退団 ~宿命の娘役~ [宝塚歌劇]

11月8日(火)。

宝塚ファンが密かに注目し続けてきた事態が、
ついに現実になりました。

宙組トップ娘役・花總まり、退団発表。


特に宝塚歌劇に興味のない方にとっては、
「トップ娘役が退めるだけでしょ?宝塚ではトップスターの方が格が上なんでしょ?」
という印象をお持ちになるでしょう。

しかし。
「花總まり」という存在は、宝塚歌劇団の90余年の歴史の中で、
まさに「事件」なのです。

***

花總まりは1991年、『ベルサイユのばら』で初舞台。
翌年、星組に配属。その直後から大抜擢の嵐で、
期待の超大型新人娘役として注目されます。

1993年、星組より雪組に組替え。
そして1994年、入団わずか4年目にして当時の雪組トップスター、
一路真輝の相手役として雪組トップ娘役に就任します。

雪組で一路をはじめとする3人のトップスターの相手役として活躍後、
1998年、新たに創設された新組・宙組へ組替え。
初代トップ娘役として、宙組トップスターとなった姿月あさと、
そして2代目となる現宙組トップ・和央ようかを支えてきました。

代表作は、以下のように、枚挙にいとまがありません。
かなりの大物を多数演じております。

・ 『JFK』  (1995年雪組) / ジャクリーン・ケネディ・オナシス
・ 『あかねさす紫の花』 (1995年雪組) / 額田女王
・ 『エリザベート』  (1995年雪組、1998年宙組) / タイトルロール(エリザベート)
・ 『ベルサイユのばら2001』  (2001年宙組) / マリー・アントワネット
・ 『鳳凰伝』  (2002年宙組) / トゥーランドット姫
・ 『傭兵ピエール』  (2003年宙組) / ジャンヌ・ダルク
・ 『ファントム(アーサー・コピット版)』  (2004年宙組) / クリスティーヌ・ダーエ
・ 『BOXMAN』  (2004年宙組・菊田一夫演劇賞受賞) / ドリー

個人的には、『白昼の稲妻』(2003年宙組)のヴィヴィアンヌと、
入団2年目に初の大抜擢を受けた『白夜伝説』(1992年星組)の、
妖精ミーミルがお気に入りです(笑)。
ピクシー(という名のぬいぐるみ:ちなみにその声は出雲綾が担当)
を肩に乗せてて、すっごい可愛かったな~~☆
「算数のうた」、必死に歌ってたな~(笑)。

***

トップ在任期間、今年で12年。
これまで相手役を務めてきたトップスターは、数えて5人。

その昔、トップスター(男役)の在任期間が10年を数える事は
いくつかあったようですが、娘役トップがこれほど長期にわたって
活躍を続けた例は皆無です。

近年では、トップスターの平均的な在任期間は4~5年。
専科スターとして現在、年に1度どこかの組にて特出主演している
轟悠でも、雪組トップとしての就任期間は5年(くらい)でした。

ここまで説明すると、花總まり、という娘役の存在が
宝塚歌劇の中でいかに奇特な存在であったか、ということが
お分かり頂けると思います。

***

その、異例過ぎる在任期間の長さから、
一部のファンの間では、時には誹謗中傷ともとれる
様々な意見が交わされていたのは事実です。

トップ娘役というポジションは、男役スターとは違って、微妙で複雑です。
実力や実績だけでなく、運やタイミングも重要になるからです。

努力の積み重ねで運命を変え、見事にチャンスを掴み
その座を手に入れた娘役も存在します。
しかし逆に、実力も実績もありながら、そのタイミングを
掴むことのできなかった人も、少なくありません。

そして、花總がいた宙組では、その傾向が顕著であったこともまた事実です。

***

しかし、私はどちらかというと、
「よくここまで、歌劇団に仕えてきた」と思います。

言い方を変えると、花總は12年もの長い間、
「トップ娘役であること」を、歌劇団によって背負わされた人でもあるのです。

トップ娘役就任は時運の乗ったものであったとは言え、
その後10年以上も娘役の要として勤め続けなくてはいけなかった、
というのは、「運命」というよりも「宿命」という言葉を感じさせます。

異例すぎるこの12年という年月をみただけでも、彼女が歌劇団の中で
いかに比類無き存在として位置づけられていたか、が一目瞭然です。
これだけの長期間、よく気を抜かずに走り続けた、と素直に感心します。

***

では、何故、これほどまでに彼女の存在が特別であったのか。

宝塚のスターと言えば、歌・ダンス・演技の実力が大きな要素ですが、
彼女は、どれもひととおりそつなくこなす、という印象。
(一定以上のレベルを持ち合わせている、という意味です)
取り立てて何かの実力が突出している、というわけではありません。

花總の突出した個性は、その類い希なる集中力と、他の追随を許さない品格です。

ある演出家が、彼女について、
「プロのタカラジェンヌ」という言葉で表現したことがあります。
この言葉の真意は、宝塚創設以来の理念を振り返れば推察できます。

宝塚歌劇という所は、「宝塚音楽学校で学んだ演劇の要素を
大劇場の舞台で発表し、また研鑽を積み重ねていく」という理念があります。
いわば、「学校主義」がその根幹にあるのです。
「研鑽発表の場」である公演ではお金を取るわけですから、
宝塚歌劇は「プロのアマチュア劇団」と言うこともできます。
(だからこそ、外部のプロダンサーなどを途中採用したりしないわけです)

舞台ごとに変わってくる、その役に要求されるレベルを瞬時に、
そして的確に見抜く集中力。そして自分に課されたものを
完璧なものにしようと積み上げる努力。

それを怠らない花總は、新しい舞台を勤めるたびに、
常に新鮮な魅力をファンに発見させます。

同じくらい高度の歌唱力が要求されるトゥーランドットとクリスティーヌでも、
歌唱方法を変えてきました。
アントワネットとエリザベートのように、王族出身で気品が要求される役でも、
人格が違えば立ち居振る舞いも話し方も違うもの。そこをしっかりと演じ分けます。

そういった「役の基盤」をどう築き上げるのか、その辺りを見極める鋭さは見事です。
(トップ娘役になった途端、全く成長しなくなった人も少なくありませんからね…)

そして、タカラジェンヌに必要不可欠な品格が、常に舞台を包み込んでいます。
それが、演出家をして彼女を「プロのタカラジェンヌ」と言わしめた理由でもあるのでしょう。

和央の相手役になってからは、様々なチャレンジを経験して、
それをひとつクリアするたびに、さらに存在感が増すばかりでした。
雪組時代から一緒で、共に気心の知れた和央との同時退団は、
花總にとって最良の引き際でしょう。

***

と、ここまで書いてみたものの、退団は来年7月なんですよね(^ ^;)
最近は、半年以上前に退団発表するのが当たり前になってきましたね~。
そんなに稼ぎたいか、歌劇団よ…。

退団までのスケジュールは、今週いっぱい上演中の東宝公演の後、
大阪と東京で上演される和央ようかライブ、そして
サヨナラ公演『NEVER SAY GOODBYE -ある愛の軌跡-』。

『NEVER-』は、宝塚を代表する耽美派演出家・小池修一郎の脚本に、
ブロードウェイで活躍している作曲家による音楽、という、日本の演劇界では初の試み。
最後の最後までチャレンジ精神旺盛な和央と花總です。

皆さんも今、まさに世紀の瞬間に立ち会おうとしているわけですよ!
この瞬間を、見逃すな~~~っ!(笑)

*****

『ベルサイユのばら』上演、そして和央&花總という、
宝塚きってのゴールデンコンビの退団と、来年も宝塚は話題目白押しですね。
目が離せません。


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コメント 11

うみのつばめ

はじめまして。
私のところへ関連記事として入っていたので、来てみました。
私も昔は、歌劇をよく観ていました。
私の時代は、男役トップが退団すると、娘役トップはそれに殉ずるのが当然のようなところがありました。
あなたのレポートを読んでいると、花總さんはかつての初風諄さんのような方ですね。

結婚してから、外出の自由がなく、もうかなりの時間舞台から離れています。なので、現役生の様子などは、さっぱりわかりません。
少し、現役ファンのあなたのこのページを読んで、おさらいなど勉強したいと思います。
RSSに加えさせて下さいね。
では、よろしくお願いいたします。
by うみのつばめ (2005-11-10 11:31) 

★とろりん★

初めまして!ようこそおいでくださいました。
コメント&nice!指定、ありがとうございます!
今は宝塚歌劇団内部での人事構成にも変化が出始め、
それと同時に組内のトップ体制も変化しつつあるようです。
トップ体制が固定された時代からのファンですので、
それ以前のスタイルなどにも興味があります。
色々とお話いただければと思います。
またお越しくださいね☆
by ★とろりん★ (2005-11-10 12:22) 

榊 真央

花總さんが!!
このところ忙しくて、うみのつばめさんの記事で初めて知り驚いています。
和央さんの次はどなたの相手役かと思っていました。
同時退団ですか・・・。感慨深いです。
理事にまでなられるものと思っていましたので、退団される日が来るなんて・・・。
品格と清楚さを持ち続けた稀有な娘役さんであったと思います。
by 榊 真央 (2005-11-10 13:35) 

失礼致しました

あまりに驚いてしまって、ご挨拶をしておりませんでした。
うみのつばめさんの記事だとばかり思っておりました。
これを機会にお近づき頂けたら幸いです。
本当に失礼致しました。
by 失礼致しました (2005-11-10 13:40) 

★とろりん★

はじめまして!初来訪いただいて、嬉しいです。
宝塚の歴史の9分の1を、トップ娘役として過ごされた事を考えると、
やっぱり花總さんは空前絶後の人ですね~。
彼女がトップ就任した年に生まれた赤ちゃんが、
退団の年には中学生ですからね…そう考えるとやっぱりすごいです。

またのお越しをお待ちしています♪
by ★とろりん★ (2005-11-10 14:31) 

コロリン

はじめまして和央さんと花總さんの記事をよみました。和央さんの退団は新聞記事で見てしりました。それから何日かして花總さんの記事をみ思ったのは、この二人が退団したら今後宝塚を盛り上げて以前みたいにお客を満員にするのは誰かなと私は思いますがどうでしょうね。でも二人の舞台は時々見に行ってたから寂しくなります。さよなら公演見に行きたいです。
by コロリン (2006-01-30 22:45) 

★とろりん★

コロリンさん、はじめまして。
コメントありがとうございます☆
今の宝塚を代表するゴールデンコンビの卒業も
あと半年に迫ってきましたね。
でも、宝塚にはいつの時代でも、
ゴールデンコンビの存在が繰り返されてきました。
今度はどこの組がゴールデンコンビを生み出すでしょうね~。
期待していきましょう☆
by ★とろりん★ (2006-01-31 17:48) 

れん

「花總まり」検索からきました。2006年あるきっかけで花總さんを知り、宝塚に足を踏み入れました。宝塚を知れば知るほど任期のことやその他で色々書かれている彼女の記事を見てそうだなと思いつつもやっぱり好きで、今現在も好きなままです。今回の記事批評、評価両方あったのがとても嬉しかったので、コメントを書かせていただきました。ありがとうございました。
by れん (2007-04-24 01:07) 

★とろりん★

れんさま
ようこそお越しくださいました。1年半前の記事を見つけてくださり、おまけにコメントもいただけるなんて、すごく嬉しいです。ありがとうございます。私もハナちゃん、好きでしたよ。12年の在任は長いなぁと思いつつも、彼女の舞台を観るたびに「やっぱりすごいなぁ」と思いましたもの。これからも和央さんのサポートだけでなく、ハナちゃん自身もどんどん活躍してほしいですよね。宝塚レポも時々書いておりますので、またどうぞお立ち寄りくださいね。
by ★とろりん★ (2007-04-24 22:03) 

まりさん大好き♪

宝塚歌劇団について,一般の方の意見を聞けてうれしいです。私も,まりさんと和央さんの同時退団には,惜しみながらも,納得しました。もう,退団してしまいましたが,昨日のJALの番組に出演していて,歌を聞くことができました!!

これからも,更新よろしくお願いします。
by まりさん大好き♪ (2007-10-08 09:22) 

★とろりん★

まりさん大好き♪ さま
はじめまして、ようこそおいでくださいました。少し前の記事にもこのようにコメントをいただけますこと、とても嬉しいです。ハナちゃんも少しずつではありますが、活動の幅を広げているようですね。ますますのご活躍を期待しております。これからもどうぞ足をお運びくださいませ。
by ★とろりん★ (2007-10-09 20:39) 

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