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花だより三人会 『木久蔵・きくおとナンちゃんです!』 [伝統芸能]

2007年3月31日(土) 新宿末廣亭 18:00開演


古き佳き次代の芝居小屋を思わせる新宿末廣亭。

【出 演】
前 座  林家たこ平 「つる」
落 語  古今亭駒次 「転失気(てんしき)」
漫 才  ナ  イ  ツ
紙切り  林家二楽
落 語  林家木久蔵 「昭和芸能漫談」

落 語  南原清隆 「仔猫」
落 語  林家きくお 「おしの釣り」

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落語の定席へと足を運んでみました。今年の初笑いは→国立演芸場で幕を開けましたが、江戸の香りが残る落語の定席へは初潜入。しかも今回は、お笑いコンビ「ウッチャンナンチャン」の”ナンチャン”の愛称で知られている南原清隆さんの初高座、しかも30分以上の大作に挑戦するという企画モノ。思わず、この日横浜で開催されていたはずの「歌丸一門会」を振り捨てて新宿へと走ってしまいました(すみません、歌丸師匠…5月は必ず…)。

ナンチャンと言えば、社交ダンスやキャスターなどで多彩な才能を発揮されているタレントさん。高校時代は落語研究会に所属していたそうで、落語のイベントなどにも出演されたことがあるそうですが、「落語のホームグラウンド」とも言える定席への出演は今回が初めてだそうです。でも、とても初めてとは思えない堂々とした、そして爽やかな高座でした!!

友人のご厚意にてゲットした2階桟敷席のチケットをたたずさえて、新宿末廣亭の最寄り駅になります東京メトロ「新宿三丁目」に到着したのが、午後5時前。開演までまだ1時間以上あるにもかかわらず、当日券を求めてものすごい長蛇の列!!テレビ局や新聞社など、マスコミ関係も多数。

そのうち、前売券を持っていたお客さん(私も含む)だけがピックアップされて、まずは桟敷席へ。末廣亭のは桟敷は屋台(傾斜がつけられている)になっていて、勢いあまって転落しそうな、危険な場所でした(笑)。

では、さっそくレポへと参りましょう~。

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■ 林家たこ平 「つる」

ご隠居さんが面白半分に教えた「つる」の名前の由来を誰かに聞いてもらいたい八っつぁん。ところがご隠居のようにはうまくはいかず…?

前座は、林家正蔵門下のお弟子さん、たこ平さん。お名前の通り、頭がくるんとしていて、愛嬌のあるお顔立ちです。まだまだお衣装(着物)に慣れていないのか、裾やたもとの扱いがちょっと雑かな…。口調に勢いがあって良いのですが、噺がちょっとつっかえがちで、もう少し気持ちに余裕が出ると、堂々とした高座になっていくのではないでしょうか。もっともっと経験を積んでいって、がんばって欲しいですね。

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■ 古今亭 駒次 「転失気(てんしき)」

何でもかんでも知ったかぶりをしてしまうお寺のご住職。かかりつけのお医者様に「転失気はございますか?」と聞かれて「ある」と答えたものの、実は何のことかわかりません。そこで坊主に言いつけて「転失気」の意味を探ります。坊主さん、言われた通りにご隠居様やお花屋のご主人を訪ねますが、どうもイマイチ要領をえない返事ばかり。そしてお医者様に「転失気」の意味を教わった坊主さんは、ご住職が「転失気」の意味を知らなかったから、自分を使って聞きに行かせたのだと悟り、一計を案じます。さて、お医者様が診察に来たその日…??

グレー地に藍縞の着物に藍の襦袢、とってもシックな装いで登場されたのは、志ん駒門下の駒次さん。この2月に二ツ目に昇進されたばかりです。小僧さんの言葉遣いや仕草がそれらしくて、可愛らしかったです。子どもさんの形というのは、女性の形(お内儀さんや花魁など)よりも形がつけやすいのかな?高座はまだまだ若いな~という印象ですが、とにかく高座を楽しんでつとめていらっしゃるのが、よく伝わってきました。これからもどんどん伸びていってくださいね~。

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■ ナイツ 漫才

黒のスーツの塙(はなわ)くんと、ワインレッドのスーツに身を包んだ土屋くんの2人組。ナンチャンの所属事務所の後輩にあたるそうです。野球好きの塙くんのお話から、イチローネタから野球ネタ、時事問題、コスメへとどんどんテーマは変わっていったのですが、最後に行き着くところはなぜかやっぱり塙くんの野球ネタ(笑)。その後は「節約結婚式」をテーマにしたコントが繰り広げられましたが、…結構せつな~い展開でした…(笑)。いや、楽しいんですけどね、「そんな結婚式、イヤだよぅ…」みたいな(苦笑)。

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■ 紙切り 林家二楽

柿茶の着物に、白地に黒縞の袴姿で登場されたのは、紙切り芸の二楽さん。その日のお客さんのリクエストに応じて芸を披露して下さるので、自ら「身体に良くない芸ですよ」と言いながらも(苦笑)、見事にお客さんたちのリクエストに応えて、力作の数々が生まれました。

今回、作ってくださったのは、「桃太郎」、「おいらん」、「ペガサス」、「越後獅子」、「うさぎ」の5つ。特に感銘を受けたのは、「おいらん」と「越後獅子」。「おいらん」は、ちゃんと鼈甲の櫛が6本さしてあって、キセルを手にたずさえているんですよ。そして越後獅子は、お囃子する子と芸(逆立ち)を披露する子の2人分。大きさは勿論、立っている位置、逆立ちの手をつく位置までぴったり!驚きです。

二楽さん、はさみで紙を切っている間、身体を前後左右に動かしながらずーっと何かをお話していらっしゃるんですよ。口も手も動かす…ってなかなかできませんよ~。すごいなぁ。お囃子さんとの呼吸もピッタリで、二楽さんが「もし僕が動きを止めたら…こうなりますっ!」と、二楽さんが動きを止めた瞬間に、お囃子もピタッと止まるんです。高座とお囃子の、あうんの呼吸を実感したひと時でした。確かに紙切り、動きがないととっても地味な芸になってしまうことも痛感(苦笑)。

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■ 林家木久蔵 「昭和芸能漫談」

仲入り前の一席をつとめられますのが、落語界のスーパースター(?)、林家木久蔵師匠!!女郎花を思わせる淡いクリーム色の着物に、同色ながらちょっと派手目の「招福柄」(招き猫とか打出の小槌など、おめでたグッズが細々とちりばめられています)の羽織を着ての登場。この方が登場されるだけで、なぜこんなに笑顔になってしまうのでしょうか(笑)。

予想通り(?)、木久蔵師匠は落語ではなく、ご自分の半生も含めた「昭和芸能史」。まずは笑点ネタで、圓楽師匠の話から。圓楽師匠は体調不良を理由に笑点の司会を降板されましたが、木久蔵さん曰く、「あの人は顔が長くなる病気におかされたんです」(笑)。

現司会者、歌丸師匠については、「あの人が元気なのは、骨太だからです。骨が丈夫だから。骨が皮着てんです」。そしておおかたの予想通り、歌丸師匠の愛妻、富士子さんネタへと展開。富士子夫人は、ミス出身だったんですって。その名も「ミス焼売(By崎陽軒)」(笑)。学生時代、横浜駅で焼売弁当を販売する仕事をされていたことがあるんですって。

もちろん、ご自身の最初の師匠、3代目桂三木助師匠との交流をめぐる逸話(バスケットボールの話)もしっかりと入っていました。一度は聞いたことのあるお話ですのに、その部分へ来るとやっぱり大笑いしてしまいます。でもそろそろ、きくちゃんのちゃんとした落語も聞いてみたいぞ。

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■ 南原清隆 「仔猫」 

さて、仲入り後。いよいよ南原さんの登場を待つばかり…なのですが、その頃とろりんは、桟敷席でエライ人に遭遇しておりました。

私は2階桟敷席のいちばん前に陣取っており、目の前の手すりにもたれながら高座を見ていたのですが、仲入り後、ひとりの男性がおもむろに、隣に座りました。なにげなく男性の顔を見ると、さりげなく谷村新司さんでした(笑)。谷村さんが、とろりんの隣で、とろりんと同じように手すりにもたれて高座を見つめているんですよ!!いやもう、驚きました。次の瞬間、「しまった、お化粧直ししてないや」と、マジで後悔しました(笑)。

さて、ナンチャンの登場です!鶸萌黄(ひわもえぎ)からグラデーションが濃くなって裾は緑へと、鮮やかな色あいの着流しで登場。少し早めの若葉を思わせるセンスです。

ナンチャンは、「仔猫」という噺に挑戦。

江戸の、とある大店で働き始めた娘、おなべ。器量はそれほどよくないながら、くるくる気のつく働きぶりで手代たちから慕われていました。ところがある日、おなべの身辺に不気味な噂が立ち始めます。噂を聞きつけた店の旦那が番頭と一緒におなべの荷物を調べたところ、とんでもないものが…。

マクラは先日、別の仕事で行かれたという海外旅行のネタから。「見知らぬ土地に行くと、言葉って困りますよね~」という話題から、自分が香川県から東京に出てきた頃に方言に苦労したこと、そしてそこからするりと噺へと入っていく、その自然な流れにまずは感心。

社交ダンスや文筆業など、なんでも器用にこなしてしまうナンチャンのこと、今回も企画モノだけに終わらせず、きっちりと仕上げてくるんだろうな、と思っていました。だからこそ、歌丸師匠に浮気をして、あえてこちらを聞きにきたのですが、予想以上でした!!この企画最大の目玉でしたが、最大の収穫だったと言っても良いでしょう。

上下の振りも意識してちゃんとできていましたし(ただ、展開が白熱してくると、どうも忘れてしまうようでしたが…)、口跡もしっかりしていましたし。ご自分の「噺芸」のつたなさご自身がわかっていて、そのつたなさをフォローしようとしてか、ちょっと手振りやしぐさが大げさすぎるかな…と思う傾向がありましたが、聴衆を噺の世界に引き込む術はしっかりと心得ていらっしゃいます。

高座が終了した後は、万雷の拍手。その中、むやみに自分の存在をアピールしたりすることなく、他の噺家さんと同じように、サッと折り目正しくお辞儀をされて、スッと高座を退場されたのには、これまた感心。ご自分の立場をしっかりわきまえていらっしゃるなぁと、とても好感を持ちました。お笑い芸人が一流劇団の舞台に上がらせてもらってはやたらにはしゃいで終わるような、単なる企画モノだけにとどまらず、ナンチャン自身が落語に造詣が深いだけに、「定席」で落語をかけられるということの大変さ、すごさを知っているからこそのふるまいでしょうね。

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■ 林家きくお 「おしの釣り」

紫苑色の招福柄の着物に、同色の羽織。着物の柄はお父様の羽織と色違いで一緒です。お父様は羽織、息子は着物に、と柄だけをそろえるのが、なんとも粋ですね。この秋、真打昇進とともにお父様の「木久蔵」の名を襲名します。そしてお父様である現・木久蔵は笑点で新しい名前を募集中。5月には新しい名前が発表されるそうです。(ちなみに、名前募集はこの日に締め切られましたー)

そんなきくおさんがトリを勤めることに、一抹の不安を感じていたのは私だけではないはずです(笑)。まぁ、この会自体がお祭のようなものなので気にしてはいけないことでしょうが…。

さて、きくおさんの噺は「おしの釣り」。

釣り厳禁の上野寛永寺にひそかに釣りに行った2人組。やはり見廻り組の人々に見つかってしまいます。片方はうまく言い訳をとりつくろい、もう片方はおしになりすまして、その場をやりすごそうとしますが…。

どんなジャンルの舞台であれ、「出演者が観客に拍手を強要する行為」というのは、個人的に好きではありません。舞台が全て終わってからの拍手が、その役者、出演者に対する最高の評価だと思っています。(なので、観劇中は拍手も最低限におさえるようにしています。)

ですから、たいして面白くもないオチをつけて、「あれ、拍手が少ないですねぇ…」とか「ここで拍手がもらえないと、後がないんですぅ~」などと言って拍手を求める芸人さんは、そうやって自分から求めないと拍手をもらえない程度の人なのかと、がっかりしてしまいます。(ベテランさんは冗談と受け流すこともできるのですが、若手の方とかがやると、逆に切実な感じがして、ねぇ…)

…ええ、きくおさんがそれをしたから、ちょっと言ってみましたが…(苦笑)
(他の記事でも、そう言う人は指摘しておりますので、あしからず)

でも噺は、心配していたよりはうまいことこなしていた印象があります(すみません、「上から目線」で>汗)。まだまだ仕草が大仰ですが、真打に昇進して立派な名前も受け継いで、経験も場数もたくさん踏んでいくうちに、きっと洗練されていくことでしょう。

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末廣亭初潜入、とっても楽しかったです☆ナンチャンって、本当に器用な人だなぁ、としみじみ感心したと同時に、今度は定席(通常興行)にも行ってみたいなぁ~と夢がふくらんでいった年度末の夜でした。

なお、当日の模様はマスコミにも取り上げられています。→末廣亭で南原節-スポーツ報知

☆ オマケ ☆


2階桟敷席に掲げられている「末廣亭」の看板。(実は多分撮影禁止)

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コメント 2

りょう

ナンチャンって社交ダンスのときもすごく真面目に取り組んでいて、
他の人よりもずっと上達していたし、偉い人だねぇ。。。
やっぱ良い性格と素質に恵まれているのかな。
とろりんさん、うらやまし!!
これからもカンゲキレポ楽しみにしています☆
by りょう (2007-04-06 15:31) 

★とろりん★

りょうさま
コメントありがとうございます。
社交ダンスももともと番組の企画の1つだったのに、
最後は独立した番組に昇格しましたものね。
企画とはいえ、一定のレベルまで引き上げる
ナンチャンの実力とその努力には、いつも感服しています。
by ★とろりん★ (2007-04-06 15:59) 

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