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『NO WORDS, NO TIME~空に落ちた涙~』 [講座・現代演劇]

2013年2月2日(土) 東京グローブ座 18:00開演
公式サイト

【キャスト】

東山紀之
田口淳之介
花總まり
黒田育世 ほか

【スタッフ】

作・演出/G2
振付/黒田育世
音楽/和田俊輔
美術/二村周作
照明/中川隆一
音響/井上正弘
音楽制作/飯塚章又
映像/奥秀太郎
衣裳/原まさみ
ヘアメイク/田中エミ
演出助手/髙野 玲

* * * * *

その比類なき経歴と存在感から、今でも宝塚ファンの間で「伝説の娘役」として語り継がれる元宙組トップ娘役・花總(はなふさ)まり。(彼女が「宝塚の伝説」たるゆえんは、コチラの記事をご覧ください)

花總の舞台を、8年ぶりに観劇しました。(※実際に花總が宝塚を退団したのは7年前ですが、ワタシは退団公演を観ることができなかった為、1年繰り上げて計算しています)

科白は一切なく、ダンスとパントマイムだけで進められていく濃密な舞台に、客席もかたずをのんで惹き込まれているようでした。

大まかなストーリーとしては・・・

ひとりの男(東山)がいます。男は愛する妻と息子を失くしたその日から、空虚な日々を送っています。職場では女性管理職(黒田)から熱烈なアプローチを受けているのですが、それを受け入れる気持ちは全くありません。妻や息子に逢いたいという思いは募るばかりです。

ひとりの青年(田口)がいます。青年はひとりの女(花總)と暮らしています。青年と女は、失くしてしまった「男」に逢いたいと願っています。

男の世界と青年の世界、2つの世界とそれぞれの想いが交錯した時、男は時空を超えてもうひとつの世界へ入りこみ、青年と女にめぐり逢います。女は男の妻、そして青年は成長した男の息子でした。

3人はつかの間の再会を喜び、その幸せをかみしめますが、世界を超えるというタブーをおかしてしまった男は時空管理局に捕えられてしまいます。男はすんでのところで息子に助けられますが、3人はそれぞれの世界で生きて行くことを決意し、再生の道を歩み始めるのでした・・・。

* * * * *

科白は一切なし、ダンスとパントマイムだけで1時間40分を創り上げるというこの舞台。

普段、コンテンポラリーダンスはめったに観る機会がないので相当な集中力を費やして、とても疲れる観劇でした。でも、なんだかとても心地よい疲労感と充実感。こういう感覚、好きだな。観劇の醍醐味ですね。

2つの世界が交錯するこの舞台では、ひとつの振りが何度もシンクロしたり、同じ振りが複数の人間によって繰り返されたりします。男は女であり、女は男であり、そして男は青年でもあり、青年は男でもある・・・。

共通点は、メインキャストの誰もが「失った者」であると同時に、「失われた者」でもある、ということ。

そして、「残された者」であると同時に、「残した者」でもある、ということ。

そのことを特徴的にとらえた振付やフラッシュバックのような演出が多用されていました。これは・・・一秒たりとも目を離せない!

舞台を観ながら、能『角田川』の母親を思い返していました。

大切なものを失った時、もうこれ以上はないという絶望に襲われた時、それでも「残された者」=「失った者」は生きていかなくてはいけない。「残した者」=「失われた者」もまた、別世界に隔てられた存在を慕い、想う気持ちは決して消えることはない・・・。そんな悲しみの「環」を断ち切り、新しい日々を生きていけるのかどうかは、当事者たちの意志に依るしかないのです。

『角田川』の母親も、この舞台に生きる「男」も、別世界との邂逅がきっかけとなって新しい道を生きる決意をします。母親は底知れぬ絶望から抜け出せないまま、男は闇の向こうに希望の光を見出して・・・。それぞれの心の出発点は正反対だけれども、それでも今日を、明日を生きるという選択をすることは同じ。

人間として当たり前のように思えるその選択は、時として苦しく辛いものです。だからこそ、感じる喜びも格別なのでしょうけれど。

・・・ああ、色々と考えていたら、何を伝えたいのか全く意味不明な文章になってしまいました・・・。カンゲキ通信おなじみ、「書いているうちに筆者も何が何だかわからなくなっている感じの文章」が久々に登場しましたね(苦笑)。

* * * * *

少しずつ、メインキャストの感想も。

東山さんのダンスを生で拝見したのは初めてですが、ひとつひとつの振りが明瞭なだけでなく、指先の動きやちょっとしたたたずまいにも彼独特の「余韻」があるのが流石です。

「黒田さんの振付は独特で、今まで僕が触れてこなかった部分であるのは間違いない」(公演プログラムより)と話しているので、こういった特殊な技法を伴うコンテンポラリーダンスに本格的に挑戦されるのは初めてだったようですが、それをまったく感じさせないほど。長年鍛えられてきたダンサーとしての感覚が活かされているのでしょうね。

* * *

KAT-TUNの田口くんのダンスを観るのも、もちろん初めて。東山さんのような「香気」を感じさせるにはまだまだかな・・・と思いましたが、とにかく思い切りが良くてキレがあって、ダイナミックなダンスは見ているだけでこちらのテンションも上がっていく感じ。

東山さんと向き合って同じ振りを踊る場面もまったく臆することなく東山さんに真っ直ぐ食らいついていって、観ていてとても気持ちの良い舞台でした。

終演後のカーテンコールでは「入口出口田口で~す!!」(←考案:横山裕氏)と、「まじまじ、あるまじ☆」のギャグを披露してくれました。「入口出口田口」を生で聞くことが出来て、感無量でした(笑)。

* * *

そして、花總まり。

もうね・・・ハナちゃん、凄すぎる!

公演プログラムに記載されているインタビューによると、「宝塚を退団して6~7年、その間に踊りを自分の生活の中に取り込んでいなくて(後略)」とのこと。

確かに現役時代に比べると少しふっくらとした(というかむしろ健康的な)体型になったと思いますが、儚い美しさと透明感、卓越した表現力と香り立つような品格はまったく衰えておらず、むしろ進化を遂げていることに瞠目しました。

ダンスは流れるようにしなやかで軽やかで、そして何より腕から手首、そして指先の表情が繊細かつ雄弁。

花總は「タカラジェンヌの最高傑作」だと思っていました。しかし、稀有な存在感を出せる舞台女優としても大きく花開いた彼女の姿を目の当たりにして、驚きと感動のあまり、終演後はちょっと言葉が見つかりませんでした。

花總まりの奇跡は、まだまだ終わらない・・・。

* * * * *

東京グローブ座は初めて足を運びましたが、3階席からでも舞台が近く感じられて、とても観やすかったです。劇場内カフェのアルコールメニューに「淡麗グリーンラベル」が置いてあったのは、流石だなと感心しました(笑)。


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