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宝塚歌劇花組公演 『ラスト・タイクーン』 感想(1) [宝塚歌劇]

ミュージカル『ラスト・タイクーン―ハリウッドの帝王、不滅の愛―』
~F.スコット・フィッツジェラルド作「ラスト・タイクーン」より~


脚本・演出/生田大和
作曲・編曲/大田健、青木朝子
音楽指導/若林裕治
振付/御織ゆみ乃、桜木涼介
装置/二村周作
衣装/有村淳
照明/笠原俊幸
音響/大坪正仁
小道具/下農直幸
歌唱指導/楊淑美
映像/奥秀太郎
演出助手/田渕大輔
舞台進行/青木文

参考図書/大貫三郎訳「ラスト・タイクーン」(角川文庫)


* * * * *


蘭寿とむが宝塚歌劇団花組トップスターとして最後に演じるのが、ハリウッドの黄金期とされる1930年代に天才映画プロデューサーとして名を馳せたアーヴィング・タルバーグ(1899-1936)をモデルとして書かれた、フィッツジェラルドの小説「ラスト・タイクーン」の主人公、モンロー・スター。

ここで、少しだけアーヴィング・タルバーグの説明をしておきます(出典はほとんどWikipedia)。

アーヴィング・タルバーグ(1899-1936年)は、1920~1930年代初期に活躍したアメリカの映画プロデューサー。「天才少年(The Boy Wonder)」の名をほしいままにし、適正な脚本を選定し、適正な俳優を選択し、最高の製作スタッフを集め、きわめて収益率の高い映画を製作する、といった特異な能力を発揮して数多くのヒット作を世に送り出しましたが、37歳の若さで夭折しました。

1939年、ニューヨーク・ブルックリン生まれ。高校卒業後、ユニヴァーサル・ピクチャーズニューヨーク支社に採用され、ユニヴァーサル・スタジオ社で伝説とされている撮影所創業者カール・レムリの個人秘書として勤務。聡明で粘り強い性格の持ち主だったようで、21歳の時には重役に名を連ねていたそうです。

1924年、ユニヴァーサル社からルイス・B・メイヤー・プロダクションズ社に移籍。その直後にメトロ・ピクチャーズ社との合併をはかり、同社はメトロ・ゴールドウィン・メイヤー社(MGM)となります。そう、長年アメリカ映画を牽引してきたMGM社です。

生まれつき心臓が弱かったタルバーグは、重度の心筋梗塞に苦しみながら、次々とヒット作を手がけていきます。

手がけた作品は「ベン・ハー」(1925年)、「メリー・ウィドー」(同)、「肉体と悪魔」(1926年)、「ラ・ボエーム」(1927年)、「ブロードウェイ・メロディー」(1929年)、「接吻」(1929年)、「マタ・ハリ」(1931年)、「グランド・ホテル」(1932年)、「椿姫」(1936年)、「チップス先生さようなら」(1939年)など、枚挙にいとまがありません。

Wikiのフィルモグラフィーを見ていると、見たことはなくてもタイトルは知っている映画も多くて驚きました。それもそのはず、タルバーグは存命中、自身が製作したいかなる作品にも自分の名前を記載することを拒絶していたそうです。彼は、このような言葉を残したと伝わっています。

「自分自身に与えるクレジット(信用)なんて、なんの価値もないよ」。

当時のハリウッドはスタジオシステム(大手映画会社が製作・配給・興行をコントロールすること)全盛期ですが、タルバーグは「単位生産管理計画(unit production management scheme)」の創設者としても知られます。このスキームによって、ハリウッドの映画製作は以前よりもさらに明確に「単位(unit)」に分けられ、プロデューサーや監督のなかにある一本の映画作品へのクリエイティヴな支配を拡大させました。

MGM創始者のひとりであったルイス・B・メイヤーはタルバーグの才能と成功、権力に嫉妬し、病気を理由に彼を他のプロデューサーに交代させます。タルバーグは1933年に復帰するものの、1936年、サンタモニカで人生を終えます。死因は肺炎、まだ37歳という若さでした。

モンロー・スターのモデルとされるタルバーグについて、少々長めに説明させていただいたのは、脚本・演出を担当した生田先生は、この作品を書く時、物語のプロットはフィッツジェラルドの原作に、主役モンローの人物造形にはタルバーグの生き方に強いインスピレーションを受けて、深く投影させているのではないかと思ったからです。

前置きが長くなりました。今回だけは、この公演だけは、千秋楽前に感想を書き上げたいと思います。


* * * * *


【あらすじ】

1930年代のアメリカ・ハリウッド。その並はずれた才能で多くのヒット映画を生みだしてきた天才映画プロデューサー、モンロー・スター(蘭寿とむ)は、その驚異的な手腕と才能から、「タイクーン(大君)」の異名をとっています。

ある大作映画のオーディションで、モンローはミナ・デービス(蘭乃はな)を見出し、彼女をヒロインに大抜擢します。ミナの主演映画『千夜一夜物語』は大ヒットし、その中で恋に落ちたモンローとスターは結婚しますが、直後にミナが事故死するという悲劇がモンローを襲います。

それから3年、モンローはミナの面影を心に残しながら映画製作に没頭する日々を送っていました。しかし、芸術至上主義のモンローの強引なやり口に、映画撮影チーム(ユニット)のスタッフたちは不満を募らせていき、ユニオン(労働組合)結成に向けて動き出していきます。

かつてモンローを育てたものの、彼の才能と成功に嫉妬していた映画プロデューサーのブレーディ(明日海りお)は、これを機にモンローを陥れようと画策を始めます。

ある夜、撮影所が火事に見舞われるという事件が起こります。その混乱の中で、モンローはミナに瓜二つの女性、キャサリン(蘭乃/二役)に出逢い、驚愕します。後日、あるパーティーでミナと再会したモンローは強引に彼女を口説き落とし、1日、一緒にいることを約束します。

最初はミナの面影をキャサリンに求めたモンローですが、彼女と過ごすうちに、次第に彼女自身の内面に惹かれていきます。しかし、キャサリンにはある秘密がありました。苦悩の末、彼女は1通の手紙を残し、モンローに別れを告げます。

撮影所では、モンローが率いるユニットのスタッフたちがついにストライキを起こし、モンローの更迭を要求します。人生を賭けてきた映画作りも、愛する人もその手から失われようとしている―。全てを失おうとしているモンローが、最後に手に入れた決意とは―。


【カンゲキレポ】

まずは開演アナウンスから。これまで何度も、蘭寿とむの開演アナウンスを聞いてまいりましたが、今回は低くて深みがあって、それでいてよどみがなくて、「完成形」だなと感慨深い思いに包まれます。開演アナウンスを聞いただけでうっとり・・・☆

あ、そうそう、ここで蘭寿さんが「いくたひろかず、さく、えんしゅつ」と言うまで、ワタクシ、生田大和先生のことを「いくた やまと」だと思い込んでいました。蘭寿さんが「いくたひろかず」と言った瞬間、「え?誰?いっくんじゃないの?」とまで思った勘違い野郎全開なワタクシ。

開演アナウンスが終わると、古き佳き映画のオーヴァーチュアを思わせる軽やかの演奏が始まります。そのメロディーに乗って、舞台に設置された「映写枠」(映像用紗幕)に、美しい女優のスチールが7~8枚くるくると並びます。

今回は映画業界が舞台のお話ですので、映像を使用する演出が多くあります。個人的には演劇に映像を多用する演出はあまり好きではないのですが、昔のフィルムのようにちょっと不鮮明な加工がされているので、その前に出る出演者の邪魔になっていないので好印象です。さすがいっくん(生田)、小池修一郎先生の弟子。

そして、ここに並ぶ女優ちゃん(←もちろん、花組が誇る最強娘役布陣)たちが、みんな可愛い~!

いちばん最初に登場するのが、休演中の娘役スター、花野じゅりあ。こうした形でも、きちんと公演に参加できて良かったなぁと思います。ありがとう、いっくん!

他の女優ちゃん達も、超カワイイ!!スチール写真のポージングがコケティッシュでキュートで、ひとりひとりがちゃんと「ハリウッド女優」になりきっていっています。

そんな可愛らしい女優のスチールが映写枠にバババっと並んだ瞬間、

「駄目だ!誰一人としてイメージと合わない。もう一度選びなおせ!」

女優のスチールが崩れ落ちるように溶暗し、一瞬の闇の中を一本のピンスポットが貫通し、革張りの椅子を照らし出します。

後ろ向きに座っていた人物がクルリと椅子ごと振り返ると、そこに座っているのは険しい表情のモンロー・スター(蘭寿とむ)!

かっちょいい!!しょっぱなからかっちょいい!!

登場の音楽も凝っていて、メリハリをつけてポーズを取るのですが、右手を上にかざすスピードが瞬速すぎて早くもらんとむ全開。そして、言うまでもなく、めちゃくちゃカッコイイのです!

この瞬速右手上げ、「シュパッ!!」と音が聞こえてくるぐらいの切れ味の鋭さなのですよ☆『カサブランカ』のヴィクター・ラズロを彷彿とさせる瞬速ぶりです。

照明がつくと、そこはハリウッドにある映画会社の撮影所。後方は階段から舞台が作られていて、その上に先ほどのスチールに映っていた女優たちがズラリと並んでいます。

本舞台にはモンローはじめ、アシスタントプロデューサーのボルビッツ(月央和沙)とモンローの秘書、ケイティ・ドーラン(桜一花)。ブレーディ(明日海)とその秘書、ローズマリー・シュミエル(芽吹幸奈)、会社の顧問弁護士、フライシェーカー(瀬戸かずや)など会社重役陣、そしてカメラマンのピート・ザブラス(悠真倫)などの撮影ユニットもいます。

モンローとボルビッツ、ブレーディとの会話から、社運をかけた大作映画『千夜一夜物語』のヒロインを選ぶスクリーン・テストの最中なのですが、どうもモンローには決め手となる女優が見つからないようです。

ここで女優陣→撮影所関係者→女優→モンローと歌い継ぎながら、場面状況やモンローの評判、モンローが求めるヒロイン像などが歌とコーラスで表現されていくのですが、その中でも色々なドラマがいっぱい生れていて、スリリングですごく好きです。

フレーズの間で一瞬動きが止まったりする演出も印象的です。

ブレーディを筆頭に、撮影所関係者たちが「天才の閃きに 振り回されて」「気取りやがって」と歌い踊るシーン、奥の舞台に上がったモンローに彼の秘書であるドーラン(桜)が駆け寄って行って、ファイルをとっかえひっかえしてモンローに見せているのがツボです。モンローに向ける表情も、とっても絶妙。

モンローの完璧主義に理解を示しながらも、滞った作業を円滑にするために努力をする有能な秘書、という風情。桜は下級生時代から蘭寿と組んで芝居をすることの多かった娘役です。その彼女が、蘭寿の最後の作品で、ある意味、蘭寿にいちばん近くにいる存在というのは、観客としても心強いし、ファンとしても嬉しい事です。

女優陣が「私をヒロインに選んで 何でもするから」と歌いながらモンローにすり寄る場面も好き。花蝶しほちゃんが人差し指で蘭寿の胸をついて「私を選んで モンロー・スター」と歌う場面は、とっても魅力的です。私なら選んじゃうな~☆(←誰も筆者の趣向は聞いていない)。

あと、同じくヒロイン候補の女優を演じる梅咲衣舞。モンローに寄り添って突き放され、「んもうっ」とふくれっつらをするところがラブリーです。

ヒロイン選びが思うように行かずにモンローは苛立ちが募るばかり、他の関係者たちには険悪な空気が広がるばかり。

ここひとつの場面だけで、作品作りに一切妥協はしないモンローと、映画をビジネスとしてとらえる(あるいは、とらえざるをえない立場にいる)ブレーディの対立、モンローに理解を占める人間と不満を持つ人間の対比が浮かび上がり、芝居の根幹を形成します。

モンローがヒロインに欲しいのは、「そこにいるだけで輝きを放つ、ダイヤモンド・ガール」。

「作り物の美しさになんか、価値はない」とモンローが呟いた時、大女優、ヴィヴィアン・コルベール(華耀きらり)が登場します。このタイミングでの登場なので、要するにヴィヴィアンは「作り物の美しさ」なのでしょう。しかし、これまでには見せない打ち解けた様子から、ヴィヴィアンの女優としての才能には一目置いているようです。

「誰になるかしら、あなたのシェヘラザード。決められなかったら、あたしが演るわ!」というヴィヴィの言い方が毎回とっても素晴らしいです。冗談とも本気ともつかない言い回しと、ハリウッドを生き抜いてきた良い意味の図太さ、そして誰にも真似できないオーラを感じさせて。

この後も、ヴィヴィアンは随所でお芝居の重さを和らげるような働きをしてくれます。きらり、ナイスアクト!

どうしても納得のいかないモンローがスクリーンテストを打ち切ろうとした瞬間、あるアクシデントが発生します。そのきっかけで、モンローはたまたま映画製作の手伝いに来ていたジェシカ・ハウエル(蘭乃)を見出し、ある直感を得ます。

「決めたぞ、彼女でいく」。

この一言で、撮影所は大混乱!ブレーディが異を唱え、モンローが反撃している間も、周囲ではみんな小芝居をしていて、目がいくつあっても足りません!

突拍子もない上司(モンロー)の発言にあわてふたいめて、ケイティに「どどど、どーしよ~」とすがりつくボルビッツ、「おい、どうなってるんだ、あんたの上司は」と言いたげにケイティに詰め寄るフライシェーカーとローズマリー。彼らひとりひとりに対して、冷静に対応するケイティ。ちゃんと表情が、ボルビッツに対応する時と、フライシェーカーに対応する時で演じ分けているのですよ。一花ちゃん、有能…!

今回、個人的にはこの「チーム秘書」の動きも見逃せなくなってきております(笑)。それぞれの上司につきながらも、ここぞという時には同僚らしく結束して働いている場面などもあり(それはまた今度)、生田先生、本当に細かく芝居を作り込んだなぁと感心します。

突然のヒロイン抜擢にあわてふためくジェシカに、「髪が駄目だ……プラチナだ」という蘭寿さんの顔がねー、ちゃんと「髪をプラチナにしたジェシカ・ハウエル」を頭の中で想像している顔で、めっちゃ好きです(笑)。

ジェシカが助監督(冴月瑠那)に連れて行かれた後、モンローはケイティに仕事の指示を出します。

モンロー「彼女の新しいプロフィールを作ってくれ」

ケイティ「ああ…名前はどうします?」

モンロー「…デービス…彼女の名前は、ミナ・デービスだ」

ケイティはそれを聞くと、人差し指を立てながらにっこりと笑って、ちょっとウキウキとした足取りで袖に引っ込みます。

ここのモンローとケイティのやりとり、実は大好きです。2人の関係性というか、長年ともに仕事をしてきて、モンローはケイティを信頼しているし、ケイティはモンローの性格や仕事ぶりをいちばん理解しているから、モンローのいちばん居心地の良い距離で仕事をしてくれるんだろうなぁとか、「安定した空気」が伝わってきて。

やっぱりそれは、蘭寿と桜の関係性だからこそ醸し出される空気なのだろうなぁと思います。


この後、ついに理想のヒロインを見つけた喜びをモンローが歌います。歌い終わった時に、小さくガッツポーズするのがすごくすごくカッコイイです☆



映画館、オリエンタル・パレス。モンロー製作、ミナ・デービス主演の映画、『千夜一夜物語』のワールド・プレミアです。

ワールド・プレミアの司会を演じるのは鳳真由。鳳は今回、このワールド・プレミアの司会者、映画「椿姫」の主演俳優、共産党員ブリマーという3役を演じていたのですが、どの役も違和感なく、そして雰囲気が被ることなく、それぞれの役をきっちり演じ分けていました。手堅い役者さんです。

白いドレスと衣装にターバンをつけた男役と娘役が歌い踊る中、映画関係者や出演者が次々と登場。主演俳優ロドリゲス役の天真みちる、登場のたびに花組ポーズなど男前ポーズを毎回繰り出してくされるので、ツボです。

そして最後に登場するのが、ヒロインを演じたミナ・デービス。ここで1曲歌います。

この映画には、ヴィヴィアンもメインキャストとして出ていたようで、ワールド・プレミアに登壇しています。ここもね、きらりちゃん、すっごい演技してますよ!

舞台奥の中央段上に設けられた舞台から登場する時は大輪の華のような笑顔を振りまくのですが(←投げキッスがとっても麗しい☆)、ライトが当っていない時は笑顔はありません。ましてや、ミナが歌っている時など、無表情。けれどまたライトが当ると、すかさず美しく微笑むのです。きらり…恐ろしい子…!

ここでミナ・デービスが、モンローと結婚したことを公式に発表します。それを受けて、上手花道から悠々とした足取りで登場するモンロー。

「おめでとう、モンロー!」という司会者の声を聞いて、うつむき加減で、ニヤリと微笑みながら親指で鼻をさわるモンロー。

ここの!ここの蘭寿さんがね!

「うつむき加減で、微笑みながら親指で鼻をさわる蘭寿さん」がね!

世界遺産級にカッコイイんですよーーーーーーーーー!!バンザーイっ!!

なにその、「俺ってイイ男だろアピール」!!そうよ、イイ男だから好きすぎて困ってるんじゃないの!!

さぁっ!さぁ、文化庁の皆さん!「うつむき加減でニヤリと笑いながら親指で鼻をさわる蘭寿とむ」も、富岡製糸場とともに世界文化遺産登録候補リストに載せて即刻提出するように!!

いったんはけてきたミナに「酷い人、1人で行かせるなんて」と恨み言を可愛く言われて顔がほころびながらも、「僕は裏方なんだよ」と言うモンロー。この言葉、先に紹介したタルバーグの言葉を思い出させません?

ブレーディの「君の勝ちだな」という言葉に対して、「いや、僕だけの力じゃないさ」というモンロー。ここで、彼が決して自分の才能だけを頼りに映画作りをしているわけではないという事に気づかされるのですが、ここはもう一言、製作スタッフへの気遣いの言葉があった方が、後の展開につながったのではないかと思います。

「君に見せたいものがある」からと、試写会が終わったら海に行こうと約束し、ミナの手を離して会場へ再び送り出すモンロー。この時、ミナの手を一瞬、ぎゅっと握ってから離すんですよね~。何なのかしらねこの男前な感じ(←なぜか苦情)。

ここでモンローは銀橋へ。主題歌「人生を賭けた夢」を歌います。

いかにもサヨナラ公演らしい歌詞とメロディー。「迷わず歩んだ 唯一つの道を」と歌いながら目の前に伸びる銀橋を見つめる時の、揺るぎのない眼差し。一瞬、芝居を忘れてしまいます。

1996年に踏んで以来、蘭寿さんは何度、この銀橋を渡ったのだろう…。

この時、役の状況としてはモンローは仕事でも、私生活(恋愛)でも絶頂にありました。「人生を賭けた夢」フルバージョンはクライマックスでも歌われますが、ここで歌われる時は、全てを手に入れた男の自信に満ち溢れ、ラストで歌われる時は全てから解放された清々しさに満ちています。

そうそう、ここで着ているタキシードは、黒地にストライプが入っているのですが、生地全体にラメがさりげなく入っていて、それがピンスポットに当ると絶妙な具合にキラキラ輝くのです。その中で蘭寿が動くと、まるで星の粉を振りまいているかのように見えます。

モンローが銀橋で成功を歌っている間、本舞台では『千夜一夜物語』の試写会が行われています。このために、ちゃんとカメラ撮影がされていて、スクリーンにはミナ・デービス演じるシェヘラザードと、ロドリゲス(天真)演じる王様がちゃんと映っております。最後は微笑むミナのクローズアップで「The End」。

このスクリーンの前に椅子が2~3列ほど置いてあって、そこで観客や関係者が映画を見ている風になっています。客席から見える座席に、ヴィヴィアン、ブレーディ、フライシェーカー、ボルビッツが並んで座っています。

ここでもね~、みんな(特によっち@ボルビッツ)細かいお芝居をしていて困るんですよ!(笑)

銀橋では蘭寿さんがカッコ良く自信満々に歌っているのに、試写会場では、みんな(特によっち@ボルビッツ)がちゃんと映画に対して芝居しているんですよ~。

特によっち(月央)が!よっち可愛すぎ!

映画の展開に、思わず身を前に乗り出してしまうよっち。もう、よっちってば、開演前に劇場のおねーさんから「身を乗り出してのご観劇は、後方のお客様のご迷惑になります」って言われてるでしょ!(←実話)

スクリーン上で物憂げに目を伏せる蘭ちゃん@ミナ・デービスを見て、「うわぁぁ、ねえねえ、どうなるのかな?どうなるのかな?」と、隣に座っている瀬戸くん@フライシェーカーに話しかけては、そのたびにあきら君からガン無視をくらうよっち。

よ、よっち…可愛すぎて震える…!そして瀬戸くん、鬼畜過ぎて震える…!!

「The End」の字幕が出てミナが舞台に登壇すると、真っ先に立ちあがって、ものすごい勢いで拍手を送るよっち。中央に向かって拍手をしようとして、身体が隣に瀬戸くんに傾きかけているのにも気づかず、両手をぶんぶん振ったり、盛大に拍手をするよっち。そんなよっちをガン無視しつつ、身体をわずかに傾けてよっちを避けている瀬戸くん。

見える・・・瀬戸くんの後頭部に「[むかっ(怒り)]」マークが見える・・・!よ、よっち、気づいて・・・!!(←手に汗)

隣に座るよっちのフィーバーぶりに心の底から迷惑そうながらも、ポーカーフェイスを保つ瀬戸くん。チラリと腕時計を見て、反対側に座るブレーディに何か話しかけると、2人でさっと席を立ってさっさと退出していきます。さ、さすが鬼畜顧問弁護士…!

あ、拙ブログにとりまして「鬼畜」というのは「男前」と同等レベルの賛辞ですので、悪しからずご了承ください。

ここの場面は、本当にね~、蘭寿さんにロックオンしながらも光速でオペラを前後させて、よっちと瀬戸くんの攻防を瞬時に確認する、という最大難易度を誇るオペラさばきが必要とされましたね~(←なんだその感慨)。

モンローが銀橋で主題歌を歌い終える頃、試写会も終わりになり、映画館から観客が満足した笑顔を浮かべて出てきます。

ここはうまく盆セリを使って、映画館の外と館内を巧く表現していたなぁと思います。

そこへ突然響き渡る、不吉なブレーキ音と衝撃音。そして、「ミナ・デービスが轢かれたぞー!」という誰かの叫び声。

ここの蘭寿の動きが、本当に好きです。

銀橋を渡って、下手端でブレーキ音を聞き、「ミナ・デービスが…」という叫びを聞いた後、上手へ猛ダッシュしていったところで、臨時ニュースの声が「ミナ・デービス死去」のニュースを読み上げ、がっくりと崩れ落ちるモンロー…という動きなのですが…

まず、ブレーキ音を聞いて、「ん?」という感じでちょっと顔を上げて、衝突音で立ち止まります。そして、「ミナ・デービスが…」という言葉でポケットからサッと手を出して、「轢かれたぞー!」という声を聞いた後、ちょっと間をおいてからハッとしたように駆けだして、「…道を開けてくれ…僕を通してくれ…ミナ…ミナ!」と口走りながら群衆をかきわけて走ります。

舞台の段取りで動かず、聴覚でとらえた言葉を、脳内で理解してから反応する、という人間の自然な動きをきちんと芝居の中でこなしているのです。蘭寿とむの、こういうところが本当に大好きです。

そして、久しぶりの「らんとむダッシュ」の鮮やかなこと!らんとむダッシュ、久しぶりに見られて嬉しい…(←不謹慎)。

ミナの死を知って、膝から崩れ落ちるモンローが、たまらなく素敵です。「…ミナ!」と叫んだ後、額に指を当ててよろめきながら闇の中に沈んでいくところも。なんというか、「ああ、蘭寿さんだな」って幸せになるのです。

* 

朝日の光が射しこんで、ハッとモンローは目を覚まします。秘書ケイティが、オフィスのブラインドを開けたところでした。

今は1935年。モンローは徹夜をしていて眠り込んでしまい、3年前の夢を見ていたのでした。

ここの、モンローとケイティのやり取りも好きなんですよね~。2人の間に流れる、揺るぎのない信頼感と安心感を感じて。


* * *


…と、ここでいったんカット!


うおおい、このペースでいって、本当に書き上げられるのか?!




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